2013年6月30日日曜日

尺八を作ってみる(10):内径を整える。




錆地を置いたら、内径を整えていきます。インターネットではいろんな方が内径曲線を公開されていますので、それを参考に作って行きました。
内径の構造がきっちり合わないと、同じ穴でオクターブ違いの、甲の音(かんのおと:高い方の音)と乙の音(おつのおと:低い方の音) のピッチが合わないようです。

内径の整え方は、いろいろあるでしょうが、今回は25㎜と18㎜程度の丸棒の径を理想内径に合わせて削り、そこに耐水ペーパーを巻きつけたものを作り、削っていきました。
管の中の役36㎝位が緩やかなテーパーになっていますので、9㎝の丸棒を4本、理想内径マイナスペーパーの厚み分の径に削り、それを3つに分けて、3㎝のものを12個作りました。
それぞれに細い丸棒を取り付けて、管の中に差し込んで削りました。

 
初めのころは、自作の内径計測器(上写真の竹の上に写っているもの)を使って、内径を計測していましたが、途中からは削り器を信用して、ほとんど使いませんでした。

  

何度か削って、中を覗くとこのようにボコボコしています。
ここに再び錆地を置いて、乾燥させ、削る。ということを、かなりの回数繰り返しました。

初めは、錆地をそのまま削っていたので、ぼろぼろと削れたりしていましたが、
途中から錆地を置いたあとに、生漆で生地固めしたほうが良いことに気づき、(たぶん)少し作業性が上がりました。

初めはボコボコだったものが、だんだんと平滑になり、管の中が反射して光が入るため明るく見えるようになります。
「作ってる」感を実感でき、楽しい作業です。

きっともっと効率の良いやり方があるのでしょうが、今後試行錯誤したいと思います。
 

2013年6月8日土曜日

篳篥を作ってみる(3):管内に色漆を塗る


木地固めの生漆が固まったら、少し凹凸を調整して色漆を塗りました。
冷蔵庫の中に、おそらく7~8年前に調合した朱漆がありましたので、
ダメもとで出してみますと、トロっとしていて行けそうな感じです。

念のため、新しい漆を混ぜました。

朱漆というのは、透明っぽい漆(朱合漆)に朱の顔料を混ぜて作ります。
朱合漆というのは、上の写真に写っている茶色っぽい漆です。





さて、管内に塗りこむのですが、まずは朱漆に含まれた細かいホコリなどを取り去るため
紙(吉野紙)で漉します。
上の写真に写っているねじった紙がそれです。
漆、特に色漆を塗るときは、ホコリが大敵ですので、作業に入る前は部屋を拭き掃除します。
本当は塗り専用の部屋があればいいのですが、そんなものがあるはずもなく・・・
ペーパー掛けなど、ホコリがたちまくる作業も同じ部屋でやっています。


今回は管内を塗るのに、写真のようなブラシを使いました。
生漆を塗った時に、布を巻いた棒ではどうしてもホコリがついてしまいそうだったので
たまたま発見したこのブラシを使用してみました。

太さも、長さも、篳篥を塗るのにもってこいで、きれいに塗れました。

このブラシは、実は「360°歯ブラシ たんぽぽの種」という歯ブラシです。
もう、篳篥の中を塗るために開発されたとしか思えない形です。




塗ったらこんな感じです。

プロの塗りを見ると、ぽってりツルツルで本当に美しいのですが
さすがにそこまで綺麗に行きません。
ただ、初めて作ったものよりはだいぶマシになりました。

漆に限りませんが、塗りを綺麗にするためには下地が命です。
下地の調整をもっと丁寧に行わないといけませんね。

発泡スチロールの簡易漆室で乾かす>細かいペーパーで調整>色漆を塗る

という工程を三度ほど繰り返して、とりあえずいいことにしました。