2013年5月27日月曜日

篳篥を作ってみる(2):図持ちを削る、木地固めする

図持ちというのは篳篥のリードを突っ込む場所のことです。
ここの形によってリードと管のフィット感が決まるので、重要な場所です。

昔作った第1ロットは、ここが円錐台状になっており、いまいちフィット感がなかったのです。
ナイフとペーパーで調整したので、直線的になってしまったようです。

今回は、もう少しふくらみ(凹み?)を持たせ、リードによりピッタリするように
作ってみました。
アールの付いたよく削れるヤスリがうまく働きました。

図持ちの感じを調べるのには、私は小指を突っ込んでいます。
どんな感じで入るか、どこまで入るかを参考に篳篥を見せてもらうと必ず突っ込みます。

以前江戸期の篳篥に突っ込んだときは、かなり細めの印象でした。

私の指だと、だいたい第1関節と第2関節の真ん中より
ほんの少し深く入る感じがいいのかな?



ペーパーで滑らかに仕上げた後は、木地固めのために生漆を塗りこみました。
丸棒に布を巻きつけて、塗ってみましたが、生漆ならともかく
この後、色漆を塗るときには、布の繊維が付いたりしてあまりよくなさそうです。

2013年5月26日日曜日

篳篥を作ってみる(1):穴をあけたり、板を巻いたり


篳篥も、かなり昔に作ってみたことがあって、1ロット作って、
2ロット目の途中で飽きたらしく、数本こんな状態で発掘されました。

篳篥も囲炉裏の煙で燻された煤竹(すすだけ)で作るのがいいのですが
そんな材料は手に入らないので、普通のメダケで作ります。

これは、篠笛にするには細い竹を、笛師になった後輩にもらった竹で
作ったものだったと思います。

篳篥は、頭側にリードを差し込んで演奏するため、頭側がちょっと太くなっています。
ここには檜の薄板を巻きつけて太くしてあります。
檜はしばらく水につけ、柔らかくしてから紐を使って締め上げ接着します。

竹は下半分の皮を取るようなのですが、なぜだかわかりません。
音に影響するのかな?

最終的には巻の下以外はむくので、はたして違いがあるのか解りませんが
とりあえず、全部むいたものも作ってみました。

指孔は、細いピンバイスでいくつも穴をあけ、小刀で広げていきます。

穴の形も楕円形に作る人と、猫の目型(?)に尖らせて作る人とあるようです。
最近は、楕円をよく見ますね。

ちなみに、紀州徳川家伝来の雅楽器コレクションの14管の篳篥を見てみると
9管が楕円型、5管が猫の目型です。
これは、今、図録をみて私が判断しただけで、中間的な形のものは
どこまで楕円で、どこまで猫の目かというのは一概に言えませんが、
まぁ、やや楕円型のほうが多いという感じでしょうか。

いかんせん、サンプル数が少ないので何とも言えません。

今回私が作ろうとしているものも、楕円が基本ですが、細めとか太目とか
いろいろ作ってみてます。

そのうち、いいバランスがわかるかな?

その前に作るのに飽きるかもw

2013年5月25日土曜日

漆かぶれについて

漆はカブレます。

カブレがひどい人は病院に行かないといけない人もあるようで。

ビニール手袋などを使って、防御するのが一般的なようです。

私はというと、素手でガンガン扱ってます。

どうやら漆にカブレない(にくい?)体質のようです。

初めて漆を触ったのは今から約10年前の大学生時代。

それまで、カシュ―などは扱ったことがあったのですが、
本漆はハードルが高くて、というか、
どこで売っているのか解らなくて、触っていませんでした。

当時住んでいたアパートの近くの釣り具やさんが、和竿を作っていました。
そこのご主人に漆を扱ってみたいと話すと、

「カブレるかもしれんけん、ちょっと試しちゃろう」

と言って、かなり薄めた漆を手の甲にちょっと塗られました。

しばらくたっても、痒みも赤変もなかったので

「漆に強かごたるね。」

と、本漆(黒塗立漆)を売ってくれました。

それからしばらく漆塗遊びをしていたので、漆グッズが家にあったりするのです。


ということで、私はカブレないので普通に触っていますが、
敏感な人は大変なことになりますので、扱う際は十分気を付けてくださいね。

2013年5月24日金曜日

尺八を作ってみる(9):錆地を置く

さて、外形はそれなりにできてきました。
次は内径を整えます。

尺八の構造はかなり研究が進んでおり、内径の理想曲線というものが公表されています。
作者によって若干違うようですが、歌口からだんだん細くなって、
管尻近くで一番すぼまり、また太くなるというのは共通しています。

竹のそのままの太さで楽器になればいいのですが、そう簡単ではありません。
というわけで、竹の内側に何かを塗って太さを調整します。

これまた作者によって、石膏を使ったり、パテを使ったりいろいろあるのですが、
なぜか?冷蔵庫に生漆(きうるし)があったので、
砥の粉と漆を使った”錆地(さびじ)”というものでやってみることにしました。

砥の粉、ヘラ、各種油など漆を扱う道具は、なぜか?持っていたので、
すぐに作業ができます。

地を置く前に、生漆で一度竹の内側を塗っておきます。
塗るといっても、こすりつけるような感じです。


漆は水分を吸って乾くという不思議な塗料です。
本当は、木でできた小部屋や箱に湿気を与えて乾かすのですが
今回は簡易の漆風呂(漆の乾燥機)に入れました。

蓋のできる発泡スチロールに木の桟を入れ、
底には水に浸したキッチンペーパーが敷いてあります。

これで、適度な湿気が与えられ、漆が乾くという寸法です。

生漆が乾いたら、いよいよ下地を置いていきます。



砥の粉と水を混ぜて、耳たぶの硬さ程度にヘラで練ります。
なるべく滑らかになるように、しっかり練ります。
そこに生漆を同じ量程度混ぜ、錆地の出来上がりです。
本当はガラスの上でやるのがいいのですが、手元になかったので鏡で代用。




出来上がった錆地は、漆が変色するのでチョコレートのような色になります。
何とも言えない生漆の匂いが部屋に充満します。

出来た地は、竹の棒で管の内側に塗っていきます。
手孔はマスキングテープでカバーしておきます。

錆地は水を使っているので、普通に置いておいても乾くのですが
今回は、錆地の乾燥にも漆風呂を使いました。

丸一日くらい置けば、乾燥して研磨ができるようになります。

2013年5月18日土曜日

尺八を作ってみる(8):手孔あけ


さて、いよいよ手孔を開けます。
マスキングテープを張り、錐で孔のセンターに印をつけ、ドリルで開けます。
ドリルは10.5㎜の円周部に刃が付いたタイプ(写真がないと解りにくい・・・)。
ゆっくり、気を付けて刃を下しましたが、真ん中の刃の噛み込が良くて、
一気に持っていかれ4孔は割れが入ってしまいました。

初めの錐の孔を大きく開けドリルの刃が噛まないようにするか、
ドリルの真ん中の刃をつぶすかしないと同じ轍を踏みそうです。

他にも、孔のまわりがささくれたりしたので、
ドリル刃を考え直すか、マスキングテープではなく、ビニテなどを使うかしないと・・・

今思えば、不要な竹材で穴あけ練習するべきでした。
一刻も早く開けたい!という気持ちが先走りました。

ともあれ、音が鳴って音が変えられる「もの」になりました。
吹いてみましたが、ロ、ツのあたりは低すぎます。
これから、内径を整えて「もの」を「楽器」に変えていかなくては!

2013年5月11日土曜日

尺八を作ってみる(7):歌口の加工

歌口を加工します。
粗いヤスリで、斜めに削っていくのですが、
それも持っていないので小刀でエイや!と削り、ペーパーで整えました。
角度は・・・・今吹いてるものを参考に。


木口側も角度をつけますが、今借りている笛が先生の好みでだいぶ角度が付いています。
まぁ、角度は後でつけられるので、一般的な角度にしておきました。

歌口に、硬い材料を嵌め込むのですが、ここの形が流派によって違います。
あまり音には関係ないのですが、師範とかの資格試験を受けるときに、
他流派の笛だと受けれなかったりします。

ちなみに私の習っている先生は、都山流。形は半月型です。
もう一つの大きな流派(?)の琴古流は台形です。

素材は水牛の角や象牙が使われたりしますが、
とりあえず安価なアクリルを嵌めてみます。

笛制作素材屋さんには、初めから半月型に削ったものも売っていますが、
これまたなかなか良いお値段。

なので、素材から半月型に切り出しました。
10円玉を使って型取りして、鋸と小刀、ヤスリで仕上げました。
ヤスリの良いものがあればもう少し早いでしょうが、結構大変でした。

竹にこれまた10円玉で型取りし、半月型に削っていくのですが・・・
やはり乾燥が不十分で竹が柔らかく、向かって右側の上側が欠けてしまいました。

後程、錆地か何かで補修します。



こんな感じです。
ちょっと歪んでますね・・・

まぁ、プロトタイプですから次回に活かしたいと思います。

でも、歌口に黒いのが入ると、ますます尺八っぽくなってきました。
わーい!

2013年5月8日水曜日

尺八を作ってみる(6):ホゾ組み

 注文していた工具とホゾ竹が届きました!

 今回購入したのは、管の中を削るヤスリ、掃除用のブラシ、管内塗り用の刷毛、
ホゾ用の竹3つ、歌口用のアクリル板、地ならしアングル。

地ならしアングルは、管の中に塗る錆地というパテのようなものを均すものらしいのですが、
買ってみると、普通のアルミアングルでした・・・
なにか、特殊な作りだと思ってた。
これで約1000円か・・・同じものがホームセンターに250円くらいであったよ。
ああ、失敗。

ホゾ竹も作ればいいんですが、今回は時間がなかったので購入。

さて、ホゾを組みます。

・下管の加工
まずは下管に罫引きで1.5㎝の深さにラインを入れます。
これは、第3孔に影響しない深さに設定しています。

そして、ホゾ竹をスケールに使って、木口に鉛筆で罫引きして掘り込んでいきます。


裏丸ノミというものがあって、それで掘り込んでいくらしいのですが、
持ってませんので、彫刻刀の丸刀で掘ってみました。問題なく掘れます。
ホゾ竹がぴったりとはまるように、紙やすりと刳り小刀、丸刀で掘り進みます。
ホゾ竹を入るところまで押しこむと、幅の狭いところがこすれてピカピカになるので、
そのあたりを慎重に掘り込みます。

ホゾ竹の端に鉛筆で色を付けて差し込み、回しながら抜くと、幅がキツイ所ほど
濃いマークがつくので、削るところがわかりやすいです。


掘り込んだらこんな感じ。


・元輪を作る


ホゾ竹の端を数ミリカットし、元輪を作ります。

これは上管のホゾの端に入れるもので、地を盛るときのガイドとかになります。

上管にも下管と同様に溝を掘ります。
元輪の分深めに、ホゾを2cmとして、2.2cm掘り込みました。

掘れた底に元輪を挿入して接着。


こんな感じです。

・ホゾ竹のカット


ホゾ竹を下管に接着し、上管に差し込んでみました。
2cmほど余ってます。
余分な長さを計測し、その分のホゾ竹をカットしてホゾ組完了!

かなりピッチリ組めました。

塗りの分を考慮するともう少しゆるい方がいいのかもしれませんが、
とりあえずキツキツで作っておきます。

いい感じ~

2013年5月7日火曜日

尺八を作ってみる(5):割れ止め

カットした中継ぎの所に割れ止めをします。



罫引きで小口から5mmの所にラインを引きます。
マスキングテープを巻いて、その縁に沿ってカットしたほうがやりやすかったので、反対側はその方法で。

ラインに沿って、ピラニアン鋸で深さが一定の溝を切ります。
深さが一定の溝を切るために、こんな工夫。割り箸で鋸を挟んでみました。


しかし、両側から挟むと切るときに刃が見えないので、片側だけはさむことに。


 溝を切るとこんな感じ。


割れ止めには、糸を使う方法や、極細の針金を使う方法などがあるようですが、今回はデンタルフロス(ノーワックス)を使いました。


いろんなウェブサイトをみて、とりあえず一番簡単そうなところから試してみます。

しっかりと溝に巻き込んで、瞬間接着剤で止めて終了!

あ、出来上がりの写真撮ってない・・・orz




2013年5月2日木曜日

尺八を作ってみる(4):節抜き


さて、カットが終わって節抜きです。
教本を見ると、特殊なドリルなどを使っています。
もちろん持ってません。
とりあえず、三つ目錐があるので、それで小穴を開けて刳り小刀で広げました。

まぁ、ドリルがなくても何とかなるもんですな。

そして、節を削り落とすのは長い柄がついた「ガリ棒」と呼ばれるヤスリがいるのですが、
さすがに、これは代用が利かないとおもい、通販で注文しました。

しかし、ホームセンターを徘徊していると、良さげな丸棒ヤスリがありました。


使ってみると、いい感じ。
中継ぎのある竹であれば、この長さで十分なようです。

ガリ棒、買わなくても良かったかも・・・・


粗く節を落とした状態です。
これからもっと綺麗に落としました。

下から5節目はかなり炙って曲げたため、やはり中まで茶色く変色し
香ばしい香りがしていました。

さて、ヤスリとともに、中継ぎのホゾを通販で注文したので、
それが届けば中継ぎ加工に入りたいと思います。

購入したもの

丸棒ヤスリ 900円くらい

2013年5月1日水曜日

尺八を作ってみる(3):各種位置決めとカット

勢いでガンガン進めています。

一番下の根をカットし、竹をよく見てどちらを表にするか決めました。
次に、マスキングテープを張って、孔の位置と中継ぎの位置を印しました。
寸法等は他サイト様で・・・(以下略

幸い、竹がやや長かったので、4㎝詰めなくてはならず、ひびが入った位置をうまくかわすことができました。

中継ぎの切断位置に、マスキングテープを巻いてガイドとし、
ピラニアン鋸で回しながらゆっくり切っていきます。

これまで、篳篥を作ったりしたときの工具がそのまま使えるので、
すこしだけ初期投資は抑えられました。


カットしたら、こんな感じになりました。
だいぶそれっぽくなってきました。


マスキングテープでつないでみると・・・
おお!尺八っぽい!
ちょっとうれしいですね~

さて、この後はホゾ竹や罫引き、ガリ棒など持っていない工具等がどうしても必要なので、しばらくは進展しないでしょう。

と、言いつつ工具をネット通販で頼んでしまう私。

カード払い、大丈夫かな?