2013年5月24日金曜日

尺八を作ってみる(9):錆地を置く

さて、外形はそれなりにできてきました。
次は内径を整えます。

尺八の構造はかなり研究が進んでおり、内径の理想曲線というものが公表されています。
作者によって若干違うようですが、歌口からだんだん細くなって、
管尻近くで一番すぼまり、また太くなるというのは共通しています。

竹のそのままの太さで楽器になればいいのですが、そう簡単ではありません。
というわけで、竹の内側に何かを塗って太さを調整します。

これまた作者によって、石膏を使ったり、パテを使ったりいろいろあるのですが、
なぜか?冷蔵庫に生漆(きうるし)があったので、
砥の粉と漆を使った”錆地(さびじ)”というものでやってみることにしました。

砥の粉、ヘラ、各種油など漆を扱う道具は、なぜか?持っていたので、
すぐに作業ができます。

地を置く前に、生漆で一度竹の内側を塗っておきます。
塗るといっても、こすりつけるような感じです。


漆は水分を吸って乾くという不思議な塗料です。
本当は、木でできた小部屋や箱に湿気を与えて乾かすのですが
今回は簡易の漆風呂(漆の乾燥機)に入れました。

蓋のできる発泡スチロールに木の桟を入れ、
底には水に浸したキッチンペーパーが敷いてあります。

これで、適度な湿気が与えられ、漆が乾くという寸法です。

生漆が乾いたら、いよいよ下地を置いていきます。



砥の粉と水を混ぜて、耳たぶの硬さ程度にヘラで練ります。
なるべく滑らかになるように、しっかり練ります。
そこに生漆を同じ量程度混ぜ、錆地の出来上がりです。
本当はガラスの上でやるのがいいのですが、手元になかったので鏡で代用。




出来上がった錆地は、漆が変色するのでチョコレートのような色になります。
何とも言えない生漆の匂いが部屋に充満します。

出来た地は、竹の棒で管の内側に塗っていきます。
手孔はマスキングテープでカバーしておきます。

錆地は水を使っているので、普通に置いておいても乾くのですが
今回は、錆地の乾燥にも漆風呂を使いました。

丸一日くらい置けば、乾燥して研磨ができるようになります。

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