次は内径を整えます。
尺八の構造はかなり研究が進んでおり、内径の理想曲線というものが公表されています。
作者によって若干違うようですが、歌口からだんだん細くなって、
管尻近くで一番すぼまり、また太くなるというのは共通しています。
竹のそのままの太さで楽器になればいいのですが、そう簡単ではありません。
というわけで、竹の内側に何かを塗って太さを調整します。
これまた作者によって、石膏を使ったり、パテを使ったりいろいろあるのですが、
なぜか?冷蔵庫に生漆(きうるし)があったので、
砥の粉と漆を使った”錆地(さびじ)”というものでやってみることにしました。
砥の粉、ヘラ、各種油など漆を扱う道具は、なぜか?持っていたので、
すぐに作業ができます。
地を置く前に、生漆で一度竹の内側を塗っておきます。
塗るといっても、こすりつけるような感じです。
漆は水分を吸って乾くという不思議な塗料です。
本当は、木でできた小部屋や箱に湿気を与えて乾かすのですが
今回は簡易の漆風呂(漆の乾燥機)に入れました。
蓋のできる発泡スチロールに木の桟を入れ、
底には水に浸したキッチンペーパーが敷いてあります。
これで、適度な湿気が与えられ、漆が乾くという寸法です。
生漆が乾いたら、いよいよ下地を置いていきます。
砥の粉と水を混ぜて、耳たぶの硬さ程度にヘラで練ります。
なるべく滑らかになるように、しっかり練ります。
そこに生漆を同じ量程度混ぜ、錆地の出来上がりです。
本当はガラスの上でやるのがいいのですが、手元になかったので鏡で代用。
出来上がった錆地は、漆が変色するのでチョコレートのような色になります。
何とも言えない生漆の匂いが部屋に充満します。
出来た地は、竹の棒で管の内側に塗っていきます。
手孔はマスキングテープでカバーしておきます。
錆地は水を使っているので、普通に置いておいても乾くのですが
今回は、錆地の乾燥にも漆風呂を使いました。
丸一日くらい置けば、乾燥して研磨ができるようになります。
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